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首都圏大停電
 昨日午前7時38分頃、旧江戸川でクレーン船が送電線に接触し、首都圏が大規模な停電に見舞われました。たった1ヶ所の送電線の損傷でしたが、5ヶ所の変電所の安全装置を作動させたため、東京・千葉・神奈川にまで被害は広がりました。お盆休みの首都圏が混乱し、ライフラインの脆(もろ)さが指摘されてます。

 以下、いくつか気になるニュースをピックアップしてみました。


日本経済新聞 08-14
 約3時間後に全面復旧したが、JRや私鉄、地下鉄などが一時運行できなくなり、計約31万7000人に影響が出た。エレベーターに人が閉じ込められる事故も多発した。


サンスポ 08-15
 あらゆる動力源を電力に頼る大都市のもろさが改めて浮き彫りになった。


赤旗 08-15
 停電は約3時間後、全面復旧しましたが、停電件数は1987年7月の280万世帯に次いで過去2番目。首都圏の大規模停電は、99年11月に埼玉県狭山市で自衛隊のジェット練習機が墜落、送電線を切断した事故で約80万世帯が停電して以来です。


スポニチ 08-15

 送電線は、千葉県の火力発電所から首都圏に電力を供給する27万5000ボルトの大動脈で、1967年に設置。新京葉変電所(船橋市)から江東変電所(東京都江東区)を経由し、都内東南部や川崎、横浜方面に送電。送電線には、上流側と河口側の二つのラインがあり、相互にバックアップしていたが、いずれも傷ついたため大規模停電となった。停電した地域への電力供給は、東京北西部からの系統に切り替えて復旧。同日、傷ついた二つのラインのうち上流側ラインの本格的な復旧作業を開始した。


中日新聞 08-15
 盆休みの首都圏を大混乱に陥れた広域停電。直接的な影響は受けなかったものの、県内は原子力発電が盛んな福島県と、大消費地を結ぶ電気の大動脈が走る。過去、送電線への接触自体も全くなかったわけではなく、住宅過密地の工事現場などでは、送電線の地道な保守が欠かせない状況となっている。


東京新聞 08-15
 電力中央研究所の谷口治人・システム技術研究所所長は「6000から6万ボルトの送電線への接触で小規模の停電が起きることはあるが、27万5000ボルトの送電線の接触は極めて珍しい」と話す。その珍しい過去の例が、1999年11月、自衛隊機が墜落した際に、埼玉県・入間川に架かる送電線を切断し、約80万世帯が停電した事故だ。
 谷口所長は「電線を地下化する方法もあるが、コストが相当かかる」と説明する。電気料金の3分の1が、送電のためのコスト。送電線を地下化すると現行の5倍から10倍のコストになり、電気代に跳ね返るという。(中略)

「なんだ、と思うと同時に非常に腹が立った。普通の船なら27万5000ボルトの送電線に接触すれば転覆する。送電線を破損させられるほど大きな船を走らせているのに、常識以前の問題、大不注意だ」と厳しく批判する。その一方で、電力会社側にも、こう警戒を呼びかける。
「電力のニーズが高くなり、送電線が増える一方、基盤整備は20〜30年進んでおらず、従来通りの空中送電のシステムが巨大になっている。それらを意図的に混乱させようと思えば不可能ではないことを、今回の『不注意』が示した」 (エネルギー工学が専門の太田時男・横浜国立大学名誉教授)


ニッカンスポーツ 08-15
 東電は会見で「賠償を求めることになると思う」と三国屋建設に損害賠償を請求する方針を明かした。三国屋建設は72年設立。当初は海難救助業務が中心だったが、約10年前から海洋土木作業を中心とする建設業に移行した。しかし、会社の規模は従業員数約140人で、資本金約2000万円。東電は直接の被害に加え、一般家庭の場合、停電が1時間以上続くと1ヶ月の基本料金の4%を割り引かなくてはならない規定があることから、この割引分も賠償を求めるとみられる。賠償は巨額になる可能性が高く、三国屋建設の今後に大きな影響を及ぼす可能性さえある。
 99年11月、埼玉県所沢市で航空自衛隊入間基地のジェット練習機が墜落し、送電線の切断で約80万世帯が停電した事故では、東電が防衛庁に賠償請求し、01年3月、示談が成立。防衛庁側がこの種の事故で最高といわれる補償金を支払ったとされる。

2006-08-15