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環境ビジネス
 レイチェル・カーソンが『沈黙の春』で農薬を告発したのが1962年。そして、ローマクラブが『成長の限界』で包括的な環境問題を指摘したのが1972年。日本でも1973年に、有吉佐和子が朝日新聞紙上で『複合汚染』の連載を開始した。

 企業という企業はこれらの指摘に耳を貸すこともなく、経済至上主義というレールの上をひた走った。レールの下では水俣病やイタイイタイ病の患者が呻(うめ)き声を上げていたにも関わらずだ。

 バブル経済が崩壊し、人々が少し冷静になった頃、『奪われし未来』が発刊された。環境ホルモンは、人類どころか野生生物の生殖機能をも犯していた。

 人々はやっと気づき始めた。自分達が被害者であると同時に加害者であったことを。

 1997年に京都議定書が採択され、2005年にアメリカ、オーストラリアを除いて発効された。こうした背景から環境ビジネスが誕生した。

 環境ビジネスとは、「『水、大気、土壌等の環境に与える悪影響』と『廃棄物、騒音、エコ・システムに関連する問題』を計測し、予防し、削減し、最小化し、改善する製品やサービスを提供する活動」として定義されている(OECDの"The Environmental Goods & Services Industry (1999)"より)。【三井情報開発

環境省:わが国の環境ビジネスの市場規模及び雇用規模の現状と将来予測についての推計について

 
2000年
2010年
2020年
市場規模(億円)
299,444
472,266
583,762
雇用規模(人)
768,595
1,119,343
1,236,439

 環境省の予測だと、2010年に雇用規模は一定となりつつも、市場規模は拡大し続けている。

 こうしたことからも、目覚しい技術革新と共に、中小・零細企業、はたまた市民一人ひとりに至るまで環境意識を高めることが求められる。

 環境ビジネスは、未来の子孫に対する義務であり、現代の知恵そのものである。環境を破壊することは、人間を破壊することと自覚したい。

東京都:「環境ビジネスの振興と中小企業の市場参入の可能性に関する調査報告書」の作成について

2006-08-26