コスト削減 | 我電引水 | 水象舎

目的地はどこなのか?
 企業として今、どこに向かっているのか。会社が辿り着こうとしている目的地はどこなのか。

 同じ一歩であっても、千里の道を往く人の一歩には、それだけの覚悟が込められているものです。

 同じ仕事をしていても、食べるために働いている人もいれば、自己実現のステージとして捉える人もいます。

 山登りに例えてみましょう。丘のような低い山であれば、気楽に出かけることができます。お弁当や、おやつをどっさり持ってくことも可能です。しかしながら、山登りの達成感はありません。

 では、世界最高峰のエベレストに登るとしたら、どうでしょう。万全な準備期間を設け、トレーニングに次ぐトレーニングを実行することは疑う余地がありません。お金もかかるし、何よりも生命の危険が極めて高くなります。ものの本によれば、鉛筆は極端に短く削り、手帳の表紙は剥ぎ取るなどして、1gでも荷物を軽くするとのこと。

 誰にでも登ることができる山と8000m級の山とでは、全く達成感が異なります。それは、眺望という目に見える形でハッキリと表れます。

 企業として考えた場合、荷物を軽くする作業がコスト削減に該当すると私どもは考えます。荷物は、身のこなしに直接関わってきます。身のこなしとは、スピードであり、反射神経といってよいでしょう。

 コスト意識が欠如した会社の動きは鈍くなります。社内にいると、それがわからないし、気づかない。結局、雪だるま式にムダなコストが増えてゆきます。コストマネジメントのできない企業は、“利益に鈍感”なのです。

 しかしながら、ただいたずらに「コスト削減」を叫んでも、社員の体質は変わるものではありません。コスト削減の意味と必要性を知ることが先決です。一人ひとりに“動機”がなければ、意欲もやる気も出てきません。

 コスト削減は、利益とサービスに直結しています。コスト意識が高くなれば、環境問題に対する興味が湧いてきます。そこから、社会における企業のあり方を模索する動きも出てくることでしょう。

 その時、企業の目指すべき目的地がくっきりと見えるはずです。

2006-09-03